ビオダンサ(Biodanza)とは、スペイン語で"生命のダンス"を意味します。
南米チリの医療人類学者のロランド・トーロ・アラネーダは、「人が幸せに生きるためには何が必要か?」と問い続けて、このシステムを創り出しました。現在、世界中の38ヶ国以上で楽しまれています。
ビオダンサは、“いま、ここ” に生きている、という鮮明でしっかりとした感覚を体験すること(ヴィヴェンシア)を通じて、心身両面から私たちの潜在能力にアプローチしていきます。
ビオダンサでは、世界中の様々なジャンルの音楽を使っています。
ジャズ、ロック、ラテン音楽、クラシック、ミュージカルや映画音楽・・・。
このさまざまな音楽に導かれて、心と身体が動き出していくことから始めていきます。
ビオダンサでは、ダンスは人に見せるためのパフォーマンスではありません。
振付け、美しさや完成度、特別な運動能力も必要ありません。
大切なのは「感じたことが動きとなって表れる」ことです。
さまざまな音楽にあわせて、身体を動かすとき、心も自然と動き出していきます。
言葉を用いる代わりに、動き(ダンス)を通した表現とコミュニケーションの可能性を開いていきます。
言葉を使わないコミュニケーションは、さまざまな発見をもたらしてくれます。
他の人たちの動き、エネルギー、心の移り変わりが刺激となって、自分の中にも新しい動きが生み出されていきます。
そしてみんなで作り出した大きなうねりがグループの中で動き始め、さらなる体験へといざなってくれます。
グループは、人や環境とのかかわりをより豊かで調和のとれた方向へと導いていきます。
ビオダンサのセッションでは、音楽、身体の動き、グループという「3つの要素」を用いて、私たちの潜在力である「5つのヴィヴェンシアのライン」に働きかけます。
Vivencia (ヴィヴェンシア)
音楽と動きによってひきおこされる、「いま、ここで生きている」という体験。 これをヴィヴェンシアと呼んでいます。
5つのヴィヴェンシアのライン
私たちの生まれながらに持っている可能性を引き出すための5つのライン。
Vitality (バイタリティ)
エネルギッシュで活動的な状態と、リラックスした深い休息がバランスよく取れていると
きに、人は健康であり、心地よく日々の生活を送ることができます。
リズムに乗った楽しげな動きと、メロディーに乗ったゆったりとした動きによって自律神
経、ホルモン、免疫機能のバランスを整えていきます。
生命との絆を取り戻し、生きたいという意欲、内なる喜び、情熱、充実感ともつながって
いきます。
Sexuality<セクシュアリティ>
自分自身、他者、自然との身体的なつながりから生まれる心地よさを、五感を
通じて豊かに味わう力です。
身体的な快感は、頭脳社会のなかでは、ともすると蔑まれがちですが、わたし
たちが日々健やかに生きていくうえで大切なものなのです。
また、ひとりひとりの快の感覚はユニークであり、それを再発見し、生物学的
な男女の別にかかわらず、内なる女性性や男性性に触れなおすことは、自らの
性的アイデンティティを謳歌することにつながっていきます。
Creativity(クリエイティビティ、創造性)
ビオダンサでは、絵を描く・小説を書くといった芸術活動のみでなく、
「人生を生きる」ことそのものををアートと捉えています。
変化を受け入れる柔らかさと共に、自ら変化を起こしていく力。
日常を新鮮な目で見て、改革・工夫していく力。
個性を表現していく力。
そのような潜在力を開花させて、人生を鮮やかに彩り豊かにクリエイトしていきます。
Affectivity<アフェクティビティ>
他者に対する深い親しみや慈しみの情であるアフェクティビティは、細胞間の
協力、種(しゅ)の中の連帯、群居本能などに生物学的起源を持ちます。アフ
ェクティビティは、気持ちを寄り添わせ、与え、受け取り、関係を築いていく
なかで、寛容さ、思いやり、共感、友情などの形で花開いていきます。それは
また、私たちが自他の違いを超え、多様性に満ちた世界をともに生きていく力
なのです。
Transcendence (トランセンデンス)
「境界を超えていく」という意味のトランセンデンス。それぞれの人たちがその人の今持
っている境界を超えて、より大きな存在へとつながっていく能力を表しています。
トランセンデンスは他の4つのラインのヴィヴェンシアと統合的に発達していくことによ
って、他の人間、自然、宇宙との一体感や、人間の本質を生きる(同一化する)体験につな
がっていきます。